おせちの栗きんとんの意味|勝栗など縁起物と重宝された理由

おせちの栗きんとんの意味|勝栗など縁起物と重宝された理由

おせちの定番料理の一つである栗きんとん。

黄金色に美しく輝く見た目から、いかにも金運がアップしそうな料理です。

縁起物としておせち料理に入れられる栗きんとんですが、実は栗そのものが縁起物として古代から重宝されていました。

この記事ではおせちの栗きんとんに込められた意味と、縁起物としての栗の歴史や由来について解説します。

栗きんとんと栗金団との違い

栗きんとんには、実は「栗金飩」と「栗金団」の2種類があります。

読み方はどちらも「くりきんとん」と同じですが、「栗金飩」が蒸し餅のような和菓子であるのに対して、「栗金団」は栗をサツマイモと一緒に炊いた日本料理です。

栗金飩
栗金団

おせちに使われるのは後者の「栗金団」で、金団とは「金の団子」あるいは「金の布団」という意味。

黄金色に輝く見た目から小判や金塊を連想させるため、金運上昇や商売繁盛を願って頂きます。

前者の「栗金飩」はおせち料理の定番ではありませんが、栗そのものが古くから縁起物として担がれてきた食材であり、秋の恵みに感謝して味わう上品な和菓子です。

岐阜県中津川市が発祥とされ、江戸時代中期から中津川宿で旅人に提供されていたそうです。

JR中津川駅前には、「栗きんとん発祥の地」の石碑が立てられています。

古代から栗が重宝されてきた理由

栗畑

栗は縄文時代にはすでに食べられていたようで、約1万2900~1万2700年前のお宮の森裏遺跡(長野県上松町)から皮がむかれた状態のクリの実が出土しています。

約5500~4000年前の三内丸山遺跡(青森県青森市)の調査からはクリの栽培が明らかになり、食用としてだけでなく建物の柱としても用いられていました。

堅くて重く、腐りにくいクリの木は建築材としても優秀な樹木で、縄文時代の建築材や燃料材はクリが大半を占めるそうです。

現代でも鉄道の枕木などに使用されていましたが、近年は蓄積量が減ってしまい希少価値が高まっています。

食料としては、飢饉の時期でもよく育ち、クリの実を加工すれば長期保存できるため兵糧としても重宝されました。

クリの実を乾燥させて皮をむいたものを「搗栗(かちぐり)」といい、「勝栗」の漢字を当てて戦勝を祈願する、戦の出陣に欠かせないものでした。

このように実用性が高く、縁起を担ぐ食材でもあったことから、栗は古代から重宝され、現代でも縁起物としておせち料理に使われています。

勝栗とは?武田信玄と徳川家康にまつわる逸話

勝栗

勝栗(かちぐり)とは、栗の実を乾燥させて作る保存食です。

乾燥させてシワが寄った栗の実を、臼でついて殻と渋皮を取り除くのですが、この臼でつく動作を「搗つ(かつ)」ということから「搗栗(かちぐり)」と呼ばれます。

平安時代の法典『延喜式』に「搗栗子(かちぐり)」と記述されていることから、この頃にはすでに利用されていたようです。

戦国時代には武田信玄が「勝栗」と縁起を担ぎ、出陣に際して戦勝を祈る儀式を行った記録が残っています。

その武田信玄は徳川家康との争いで、現在の静岡県浜松市にある二俣城を攻め、元亀3(1572)年に武田勝頼が落城させました。

この時もきっと、勝栗で戦勝を祈願していたことでしょう。

しかしその翌年に信玄が亡くなり、天正3(1575)年の長篠の戦いでは武田勝頼軍が大敗。

徳川家康は即座に二俣城へ軍を出し、武田軍から再び奪取しました。

この時には徳川軍に加勢した地元「光明村」の農民が、徳川家康に「搗栗(かちぐり)」を献上したそうです。

徳川家康は「光明搗栗は功名勝栗なり」とたいそう喜んだそうで、勝栗は武田家のみならず徳川家でも、おそらくは全国の武将たちに縁起物として重宝されていたのでしょう。

光明勝栗は家康が天下を取った後も江戸幕府に献上され、江戸時代末期まで約300年間にわたって、毎年正月7日の七草の膳に添えられたとのことです。

おせち料理の栗きんとんに込められた意味

栗きんとん

おせちに入れられる栗きんとんは、「栗金団」という字を当てて金運上昇や商売繁盛を意味する料理です。

小判や金塊をイメージさせる美しい黄金色が、いかにも金運や財運に福を呼びそうな感じがしますよね。

「栗金団」という文字自体は室町時代の文献に登場しますが、栗餡を丸めた和菓子のようなもので、「栗金飩」に近いものであったと考えられています。

栗金飩
栗金団

現代のおせち料理に見られるような栗きんとんは、明治時代に作られ始めたと考えられており、全国的におせちの定番となったのは戦後のことのようです。

正月料理の他には、9月9日の重陽の節句で栗ご飯を食べる習慣がありました。

庶民の間では「栗の節句」と呼ばれるほど、栗ご飯は重陽の節句の祝い膳に欠かせないものでした。

「おせち(御節)」という言葉はもともと、季節の変わり目を表す「節」に由来します。

現代ではもっぱら正月料理を指す「おせち料理」は、重陽の節句も含めた五節句に頂く食べ物のことをいいましたので、栗は古くからおせちの定番だったともいえます。

豊作の象徴でもある栗は、「豊かな一年を送れるように」との願いも込められています。

栗のとげとげ「イガ」には魔除けの効果があり、厄除けの意味もあるそうです。

そして勝栗として、合格祈願や勝負運上昇を願う食材でもあります。

おせち料理では栗きんとんが定番ですが、栗を素材として使っていれば何でもいいのではないでしょうか。

古代から重宝され続けてきた栗を、ぜひお正月に食べましょう♪

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