「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあります。

このことわざは、柿が熟す秋頃は天候が良くなり、体調を崩す人が少なくなる、という意味で使われますが、柿が栄養満点であることから、柿を食べれば医者要らず、という意味も込められているようです。

実際に柿は薬用としても古くから利用されており、柿の葉にもさまざまな効能を期待できる成分が豊富に含まれています。

柿の葉を煎じた柿の葉茶は、ほんのり甘い味わいで香りも良く、カフェインが含まれていないことから、習慣的に飲用されている方も少なくありません。

この記事では柿の葉茶の含有成分と期待できる効能、副作用についてもご紹介します。

柿の葉のビタミンC含有量

柿の葉の効能についてネットで検索すると、「レモンの20倍ものビタミンCが含まれている!」という情報が目に入ります。

しかしこれはどうも言い過ぎな表現のようで、実際のところはレモンの6~8倍ぐらいではないかと思われます。

文部科学省が公表している食品成分データベースによると、レモンの果実全体に含まれるビタミンCの量は、100g当たり100mgです。

これに対して柿の葉のビタミンC含有量を調べようとしても、食品成分データベースには柿の果実のデータしか掲載されていません。

そしてその柿の果実の100g当たりのビタミンC含有量を見てみると、甘柿が70mg、渋抜き柿が55mg、そして干し柿にいたっては2mgと、レモンよりも少ないのです。

柿の葉のビタミンC含有量については、日本食品科学工学会が2008年に発表した「カキ11品種の若葉に含まれるビタミンCとポリフェノール含量」という研究ノートによって調べることができました。

この研究によると、柿の葉に含まれるビタミンCの平均含有量は、100g当たり756.2±139.0mgでした。

つまり、柿の葉には果実の10倍以上ものビタミンCが含まれていることになります。

さすがにレモンの20倍には及びませんが、レモン果実の約6~8倍ものビタミンCを含有しているというのは、他の植物に比類ないほど豊富だと言っても過言ではないでしょう。

さらに、柿の葉のビタミンCは、熱に強い「プロビタミン」という物質で存在しています。

お湯を注いでお茶にしても、ビタミンCの効果が減少しにくいため、サプリに頼らなくてもビタミンCをたっぷり摂取できるのが柿の葉茶のメリットです。

ビタミンCと柿の葉タンニンによる強抗酸化作用

タンニンは口に含むと渋みを感じる成分で、お茶やワイン、そして柿の葉にも多く含まれています。

ポリフェノールの一種であるタンニンには強い抗酸化作用があり、ビタミンCとの相乗効果でさらに強くなります。

抗酸化作用とは、活性酸素やフリーラジカルといった「酸化ストレス」の発生や働きを抑えたり、取り除いたりする作用のことです。

酸化ストレスは老化やさまざまな疾患の原因物質とされており、強い抗酸化作用を持つ柿の葉には、美容や健康に対する総合的な効能を期待できます。

また、柿の葉タンニンは解毒作用や血管拡張作用もあり、二日酔いや高血圧への効能も期待できる成分です。

柿の葉には体内のナトリウムの排出や利尿を促進するカリウムも豊富に含まれているため、それによっても代謝を良くしたり血圧を下げたりする効果を期待できます。

花粉症対策にも柿の葉茶が有効

花粉症対策にも柿の葉茶が有効だといわれています。

柿の葉に含まれるアストラガリンという成分に抗アレルギー作用があり、ヒスタミンの放出を抑える働きがあるとされているからです。

アストラガリンはフラボノイドの一種で、植物に含まれていることはほとんどなく、カキ以外ではビワの葉に少し含まれている程度。

つまり、柿の葉茶はアストラガリンを豊富に含む唯一のお茶なのです。

花粉が飛散する前から習慣的に飲んでおくと予防になるそうですので、花粉症にお悩みの方はぜひ柿の葉茶を試してみてください。

柿の葉茶の効能と副作用

柿の葉茶にはビタミンC、タンニン、カリウム、アストラガリンなどの成分が豊富に含まれていることから、次のような効能を期待できます。

柿の葉茶に期待できる効能
  • 免疫力アップ
  • 高血圧の予防
  • 腎臓病の予防
  • 循環器系疾患の予防
  • 花粉症の予防・抑制
  • しみ・そばかす・ニキビの予防・緩和
  • 二日酔い

柿の葉茶の副作用については、これまでに報告された症例はないようです。

基本的には副作用の心配はないものと思われますが、何か持病のある方や服用中の薬がある方は、かかりつけの医師に事前にご相談ください。

ノンカフェインの柿の葉茶を習慣に

柿の葉茶にはカフェインがまったく含まれていません。

そのため、妊娠中の方やお子様も安心して飲むことができます。

カフェインを含む緑茶やコーヒーは、就寝前に飲むと興奮作用により寝つきが悪くなることがあります。

ノンカフェイン飲料である柿の葉茶は、時間を選ばずに飲むことができますので、ぜひ習慣にしてみてください。